かんろ調査隊

冬支度をミルクパンで」にメッセージをくださりありがとうございました。

そうなのです、そうなのです、「冬支度をミルクパンで」を書きつつ私もカレンダーで「ああ、今日は寒露なのねえ」と確認したのです。私たちは同じ日に同じことをしていたのですねえ。そして寒露を含めた暦のなんとよくできていることかとうっとりとしたことでした。

ところでおなじ「かんろ」でも漢字が異なる「甘露」という言葉がありますが、私の母はこの甘露のヘビーユーザーと言えるかもしれないです。母の「甘露」の使用環境は主にお風呂なのですが、湯船にふうううっと身体を沈めて全身にお湯のぬくもりが行き渡るときに「うーん、甘露甘露」と言うのです。考えてみるとそういえば真夏の熱い時期の入浴時には母のこの「甘露」はあまり登場しないかもしれません。やはり暦が寒露を過ぎてひんやりとした空気に身体が触れる機会が多くなってから真冬の寒い時期から世の中が暑くなるまでの間の季節ものなのかしら。

姪(弟の子)のみみがーがまだもう少し小さい頃、母(みみがーにとっては祖母)と一緒にお風呂に入ったときに母が「甘露甘露」と言うのを聞いて「ばあちゃん、カンロ、ってなんなん? なんでカンロカンロ言うん?」と質問してきたことがあるそうです。母は「甘露というのはすごくおいしいことやとっても気持ちがいいことをいうのだ」と教えてやり、みみがーは「ふうん」と納得したのかしていないのかわからないけどとりあえずそうなのかということにしたようです。その後は母とみみがーが一緒に入浴して、母が湯船で「うーん」と声を出すとみみがーがすかさず「ばあちゃん、わかっとるよ、カンロなんじゃろ、カンロカンロ」と言ってくるのだとか。

でもお風呂に入って「甘露甘露」と言う人を私はまだ母以外に知りません。私が知らないだけで、皆さん自宅では各自密かに「甘露甘露」と湯船で唱えているのでしょうか。ちなみに私は母の子ですが湯船に身を浸す心地よさを「甘露」と寿ぐ文化は継承しておりません。弟も妹もおそらく受け継いでいないと思います。夫も言いません。私は全国あちこちのいろんなところの温泉でいろんな入浴者を見てきましたが、「くーっ、きもちいいーっ」等と言う人には多々遭遇しても「甘露」を持ち出す人にはそういえば出会っていないなあ。母はどこであの文化を身につけたのだろう。あの文化は親子等の縦方向に伝播するものではなくて、きょうだいなどの横方向に水平伝播するものなのでしょうか。母のきょうだいたちに入浴時の甘露つぶやき文化があるのかどうか、ちょっくら調査隊を派遣してみたいと思います。