心は錦

拍手コメントをありがとうございます。

「十人並み」の意味を「ベストテン」だと勘違いしていたのが、母だけではなくて、実は、母にそう言った相手の人もだったのかも、ということは、今までまったく思いつきませんでした。なるほど。だとしたら、相手の人も、誰かを褒めるときの言葉として「十人並み」という表現はあんまり適切ではないことを学習していらっしゃるとよいなあ。

それにしても、「あなたって、心は錦、ですね」と言った方も、只者ではないですね。「心は錦」だけだと、「あっぱれで立派な心根の持ち主」のように感じられますが、日本語検定二級以上の実力の持ち主であれば、「心は錦」の前には必ず「ボロは着てても」がくることを知っていますよねえ。知ってて言ったのだとしたら、あまりに見事なボロっぷりを褒めたかったか、心根のあっぱれさをどうにかして称えたくて、脳みその引き出しから一所懸命それっぽい言葉を引っ張り出してきたか、でしょうか。

そういえば、以前、中国から来ている人が、日本の女子高の家庭科授業で特別講師をしたときに、てきぱきと手際よく調理する女の子に、「あなたはとても手が早いですね」と言って褒めたら、女子たちに「先生、ひどい!」と叱られてしまった、という話を聞かせてくださったことがありました。「手が早い」と「手際がよい」は違うんですねえ、難しいですねえ、と、日本語学習の道をひた走っておられました。