玉虫色とにび色

「パンジャーブ地方の人を見習って」を読んでいただけてうれしいです。拍手とコメントもありがとうございます。

玉虫は、少し光沢のある独特の緑色をした昆虫で、奈良県法隆寺の玉虫厨子(たまむしのずし)の装飾にもその虫の羽が用いられているものです。

私も玉虫厨子や昆虫図鑑などで見たことがある以外には、この昆虫の実物を捕獲して手のひらにのせて見た経験はありませんので、生々しい実体験はないのですが、私の中では、ちょっとカッコイイ色として分類されている色です。

私のサンダルの色は、玉虫そのもののような光沢はないのですけれど、その緑色の加減が、私の知っている緑色を表す言葉の中では「玉虫色」が一番近いかなと思いました。

玉虫色がどんな色なのかをぱっとイメージできない状態でもきっときれいな色なんだろうな、と感じる不思議な感覚は、きっと気持ちいいんだろうな、いいないいな、と思ってすぐに、あ、そういえば、私も少し前に初めて「鈍色(にびいろ)」という言葉を知ったときに、どんな色かは知らないけれど、きっとカッコイイ色なんだろうなあ、と、思いながら調べたことを思い出しました。

あの、具体的にはどんな色なんだろう、きっと快いものなんだろうな、と想像するわくわく感は、よいかんじに大好きです。

ずっとずっとむかし、まだそれほど大きくなりきってはいないくらいに小さかったときに、初めて「浅葱色(あさぎいろ)」という言葉を知ったときに、どんな色なのだろうかと、たいそうこころときめいたことを思い出します。

今はもう、浅葱色といえば、新選組の羽織の色と、ほぼ自動的にイメージが湧いてしまいますけれど、イメージがないからこその自由な高揚感を、こころもち意識しながら生きると、生きる上でのお得な気分が増大するかもしれないような気がしてきました。

色に限らず、味や、音や、いろんな感覚において、いろんなわくわくがありそうですよね。

まあ、百聞は一見にしかず、ではあるのでしょうけれど、その一見までのわくわく気分それ自体も、百聞は一見(一体験)にしかず、なのかな、とも。