安全ボトルと安全シート

その節は「眠たくなったら眠ること」にメッセージをくださりありがとうございました。

現在の勤務先で扱っているパキシルCRという名前の薬があるのですが、この錠剤が入っているボトルとシートが安全対策を施したタイプで、シートから錠剤を押し出すのにも、ボトルを開けるのにも、おとなの手の力がかなり必要な作りになっています。

パキシルCRは従来のパキシルに工夫を加えて速やかに効果を現しなおかつ副作用が発現しにくいようにしてあります。しかしながら抑うつ状態がひどくて指先で錠剤を押し出す力にも不自由があるときにはこのシートから錠剤を押し出すだけで手持ちのエネルギーを使い果たすのではないかと思うことがあります。

またボトルのほうは個人の患者さんが自宅で扱うことはないもので、あくまでも薬局の調剤室において薬剤師が開封してボトルからバラの錠剤を取り出して調剤を行う時に用いるものなのですが、このボトルを開けるのには普段よりもぐっと押さえつける力と蓋を回す力が余分に必要なのです。まあそれも仕事のうちなのでぐっと力を入れて開封するのはするのですが、調剤室における安全対策は誰に対する安全対策なのかなあ、とふと考える時があります。

このパキシルCRと違ってセロクエルという錠剤のボトルはパキシルCR以外の通常のボトルと比べても手と手首の回転少なく素早く開封できるというすぐれものなのです。特に忙しい時の調剤におけるボトルの開封に要する時間の数秒の差は薬剤師の気持ちの余裕の差に、ひいては患者さんの待ち時間の差と体力気力の差につながるような気もするのですが、安全対策ボトルはやっぱり安全対策ボトルがいいのかなあ、と考えるところです。

小さな子がうっかり手を伸ばすかもしれないご家庭に入り込む容器は安全対策ボトルであることが望ましいとは思うのですが、手先指先に不自由な事情がある人が薬剤を有効に使うためにはまた別の観点での利便性が必要でしょうし、一律に開封しづらい容器であるよりは人の状態や状況に応じていろんな種類の容器を使い分けたりするようなできるような世の中であると世の中になるとよいようなよいような。